ご挨拶
会長挨拶
第7回日本遺伝性乳癌卵巣癌
総合診療制度機構(JOHBOC)学術総会
会長 海野 倫明
東北大学大学院 医学系研究科 消化器外科学分野
皆様、こんにちは。
この度、一般社団法人日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC: Japanese Organization of Hereditary Breast and Ovarian Cancer)第7回学術総会の会長を拝命いたしました、東北大学大学院消化器外科学分野の海野倫明でございます。本総会は、2027年5月15日(土)・16日(日)の2日間、東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスにて開催いたします。
JOHBOCは、日本人類遺伝学会、日本乳癌学会、日本産婦人科学会に加え、日本癌治療学会の4学会が協力し、わが国における遺伝性乳癌・卵巣癌医療の普及と質の向上を目指して運営されております。私も2年前より日本癌治療学会の推薦を受け、理事の一員として活動に参画してまいりました。
私はこれまで、消化器外科医として主に膵癌・胆道癌の診療と研究に携わってまいりました。胆膵領域とは異なるHBOC医療に深く関与する契機となったのは、本機構を創設された故・中村清吾先生とのご縁であります。日本外科学会理事としてご一緒させていただき、多くの示唆を賜りました。先生は膵癌により逝去されましたが、その志を受け継ぎ、本機構のさらなる発展に微力ながら寄与したいとの思いから、本総会の会長をお引き受けいたしました。
ご承知の通り、膵癌・胆道癌は固形癌の中でも極めて予後不良であり、成績向上には「早期発見・早期治療」および「個別化医療」が鍵を握っております。そのためには、リスクを有する患者を的確に拾い上げ、継続的かつ適切にフォローする体制の整備が不可欠です。また、遺伝子変異に基づく新たな治療戦略の確立も急務であります。近年、膵癌・胆道癌においてもBRCA関連の知見が徐々に蓄積しつつありますが、乳腺・産婦人科領域と比較すれば、消化器・泌尿器科領域における理解と診療体制は、なお発展の余地が大きいと言わざるを得ません。
そこで第7回学術総会では、HBOC医療をより広く社会に根づかせ、同時に学術的探求を一段と深化させるべく、テーマを 「社会への普及と学術的探求への架け橋」 といたしました。2026年には、HBOCの未発症血縁者に対する保険適用が実現し、日本の保険診療が「一次予防を含むリスク低減」へと大きな一歩を踏み出した歴史的な年となりました。本総会がこの潮流をさらに後押しし、HBOC診療の裾野が広がるとともに、より高い精度と深さを備えた研究が展開されることを切に願っております。
総会運営にあたりましては、東北大学総合外科の医局を挙げて鋭意準備を進めております。多くの皆様にご参加いただき、活発な討議を通してHBOC医療の未来をともに切り拓いていければ幸いです。
副会長挨拶
第7回日本遺伝性乳癌卵巣癌
総合診療制度機構(JOHBOC)学術総会
副会長 三木 義男
筑波大学 プレシジョン・メディスン開発研究センター
第7回日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)学術総会が、2027年5月15日(土)・16日(日)に開催されますことを、心より嬉しく存じます。今回のテーマ「社会への普及と学術的探究への架け橋」は、HBOC診療の歩みを礎とし、ゲノム医療が標準化しつつある今、そのさらなる発展を展望するうえで誠に意義深いものと考えております。
JOHBOCはこれまで、施設認定や教育研修、患者登録制度の構築を通じ、わが国のHBOC診療体制の整備に尽力してまいりました。保険診療としての遺伝子検査や遺伝学的検査が定着する中で、医療現場のみならず社会全体での理解も深まっております。しかし、臨床現場では未だ意義不明な変異(VUS)の解釈や多遺伝子パネル検査後のマネジメントなど、解決すべき課題も山積しています。こうした時代の要請に応えるためには、最先端の学術的成果を迅速に社会へ還元するとともに、現場の知見を次なる研究へと昇華させる「双方向の架け橋」が不可欠です。
私は基礎研究ならびに人類遺伝学分野を担当する副会長として、ゲノミクスに基づく精密な疾患理解が、いかに個々の患者さんの最適なケアに直結するかを改めて強調したいと考えております。本総会が、多職種・多領域の叡智が響き合い、基礎と臨床が一体となってHBOC診療の未来を切り拓く実り豊かな機会となりますことを心より祈念申し上げます。全国から多くの皆様にご参加いただき、熱意あふれる議論の場となりますことを願っております。
副会長挨拶
第7回日本遺伝性乳癌卵巣癌
総合診療制度機構(JOHBOC)学術総会
副会長 織田 克利
東京大学大学院医学系研究科 医用生体工学講座 統合ゲノム学分野
皆様、平素よりJOHBOCの活動に多大なるご尽力を賜り、心より御礼申し上げます。このたび第7回JOHBOC学術総会におきまして、副大会長を拝命いたしました織田克利です。
本総会のテーマは「社会への普及と学術的探究への架け橋」です。婦人科の立場からも、HBOC診療は極めて重要な局面にあると感じております。遺伝学的検査体制の整備や保険診療下でのがん遺伝子パネル検査の普及により、社会実装は着実に進んできました。一方で、診療体制の施設間差や遺伝カウンセリングの人的資源不足、保険適用範囲の制限など、制度と現場の間にはなお多くの課題が残されています。がん種による違い、血縁者対応、がん遺伝子パネル検査の実施タイミングや確定診断検査の位置づけなど、HBOCと診断される機会の均てん化は十分とは言えません。また、女性と男性で受け止め方やサーベイランスのあり方が大きく異なる点にも留意が必要です。社会への普及を推進するうえで、学術的背景に基づく整理と議論の深化が求められています。
婦人科領域では、RRSO施行時に認められるSTIC等の病理学的所見への対応が重要な課題であり、HRD検査をはじめとする「Tumor-First」の検査からのHBOC診療の充実も不可欠です。HBOC全体を俯瞰し、日常のがん診療や腫瘍ゲノム情報からいかに確実に遺伝診療へ橋渡しするかという点を科学的に整理し、継続的にアップデートしていく必要があります。本総会では、実臨床の課題に立脚し、本邦におけるHBOC研究の発展に資する学術的議論を深められればと存じます。
現地とWEBを併用したハイブリッド開催の利点を活かし、多職種が交差する実りある議論の場となることを期待しております。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
副会長挨拶
第7回日本遺伝性乳癌卵巣癌
総合診療制度機構(JOHBOC)学術総会
副会長 宮下 穣
東北大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学分野
このたび、海野倫明会長のもと開催されるJOHBOC第7回学術総会において、副会長を務めさせていただきます、東北大学大学院医学系研究科 乳腺・内分泌外科学分野の宮下穣です。まずは、2016年8月の本機構設立以来、HBOC診療の普及と発展に尽力されてこられたすべての関係者の皆様に、深甚なる敬意と感謝を申し上げます。
まだ日本でBRCA1/2検査が保険適用となる前だったと思いますが、当時お世話になっていた米国の腫瘍内科の先生に、「日本ではBRCA病的バリアントを有する方に対し、予防切除やサーベイランスの利益と不利益、さらにはQOLを含めた生活への影響をどのように説明しているのか」と問われたことがありました。加えて、「外科医として予防切除を勧めることの妥当性をどのように説明しているんだ。我々は、手術やサーベイランスの益と害、予後、ボディーイメージの変容、卵巣機能喪失に伴う症状、メンタルヘルス、QOLに至るまで、多角的に評価する包括的プログラムを実践している。日本ではどうしているんだ」と熱く語られたのを覚えています。当時、改めてHBOC診療が非常に多面的な要素を含んでおり、意思決定を行うのにはまだまだ情報が不足しており、課題が山積していることを実感しました。
その後、中村清吾先生をはじめとする多くの関係者の方々のご尽力で、HBOCに関わるデータやエビデンスの蓄積が進み、保険償還の適用範囲も着実に拡大されてきたかと思います。一方で、未発症者に対する予防医療も含めた公平な保険償還の枠組みはまだまだ検討の余地が残されており、加えて診療アクセスの地域間格差という課題も依然として存在しております。
本学術総会では、現在抱えている課題に対し臓器横断的かつ多職種の視点から議論を深め、これからのHBOC診療につながる機会になればと願っております。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。